ガル離婚相談室超美人妻の憂鬱
超美人妻の憂鬱
夫は不細工中年女性と朝帰り、目も眩む超美人妻の憂鬱
夫の浮気を疑って探偵に調査を依頼する女性は意外にも美人が多い。
たいていは夫に裏切られた妻のほうがいい女なのである。
世間のイメージでは浮気相手のほうが美女と思われている。
不細工な妻に飽き飽きしてきたので若くて綺麗な女と不倫したという"誤解"が蔓延しているのだ。
何事も蓋を開けてみるまではわからない。
不倫の調査も同様である。
夫の浮気調査を依頼する妻は連日夜遊びする社長の奥さんなど羽振りの良い人物と相場が決まっていたが今では様々な主婦から依頼を受けるようになった。
過去に手がけた調査で当初は依頼者の単なる思い込みと思われる相談者がいた。
依頼者は元モデルの27歳で目の眩むような美女だった。
単に身長が高くて痩せているだけでなくお世辞抜きに女性が羨むスタイルの持ち主であった。
これで一児のの母親とはとても思えなかった。
「私の主人は子供が産まれてから家に帰らなくなりました。毎週火曜日と木曜日は決まって朝6時に帰ってきます。どんな方とお付き合いしているのか調べてほしいです。」
と彼女は眼に涙をためながら訴えた。
私たちは彼女の話を聞くうちに気の毒になってきた。
「それは心配ですね。」
夫は元ダンサーで彼女との結婚を契機にコピー機のセールスマンに転職した。
売れないダンサーでは妻子を養っていけないと考えたのだ。
しかし慣れない仕事に就き歩合手当ても低くいい給料をもらっているとは言えない。
「経済的には浮気をするだけの余裕はないんですけど以前、年上のスナックのママと付き合っていましたから、また年増の方に誘われたんじゃないかと思って心配なんです。」
彼女の夫は、マザコンなのかもしれないし美人妻に飽きて心が安らぐ中年女性に甘えたくなったのだろう。
私たちは依頼者の経済的負担を考えて朝帰りをする2日間に絞って尾行することにした。
本来なら1週間は時間がほしかったが浮気調査のためにモデル時代の貯金を切り崩していることを考えるとなるべく経費がかからない手法を採りたかったのだ。
浮気相手が判明した?
翌週の月曜日、彼女の夫が会社から出てくるところを張り込むことにした。退社時間は5時半だったがターゲットが通用口に現れたのは夜8時を過ぎていた。
どうやら残業で忙しかったようだ。
顔に疲労の色がにじんでいた。
待ち合わせの時間を気にしているのか腕時計を見ると一目散に駅の方へ走り出した。
定期券を自動改札口に入れると自宅方面へ向かう電車に乗り込んだ。
そして最寄り駅のひとつ手前で下車した。
その駅は何の変哲もない住宅街のなかにあり駅前にスナックが2、3軒あるほかにはホテルなど見当たらない。
しかし、ターゲットが駅から降りて商店街を歩いていると彼の後ろから自転車に乗った小太りの50代ほどの女が近づいてきた。
「今日も残業?大変ね。お弁当をつくってきたからあとで食べようね。」
2人は並んで歩きながら親しそうに話しはじめたが、どう見ても親子にしか見えない。
眼を凝らすと、彼らはコンビニ裏の路地に消えていった。
意外な"いい話"が待っていた
急いで2人の後を追い彼らが消えた路地裏で張り込むことにした。
路地のどこかに浮気相手の自宅があるのだろう。
浮気相手の夫は週に2日だけ夜勤で家を留守にしているのかもしれない。
その隙を見計らって若い男を呼び寄せて愛欲に浸っているのだろうと思った。
私たちは朝まで張り込むことにした。
2人が路地裏に姿を現したのは5時半を回っていた。
私はすぐに彼らが出てきた扉の位置を確かめてみた。
それはコンビニに通じる出口だったのだ。
2人はコンビニの中で逢瀬を重ねていたというのか。
あまり現実的ではない。
2日後の夜ターゲットがまたもやコンビニの裏口に入っていったのでしばらくしてからコンビニの店内を覗いてみることにした。
すると彼はあの中年女とレジの前に並んで立っていたのだ。
私は思い切って彼に声をかけてみることにした。
「たしか以前コピー機の商談でお話ししたことがあると思うんですが転職でもされたんですか?」
彼は一瞬、驚いたような顔をしたが私を顧客のひとりと勘違いしてくれたようだ。
「お恥ずかしい話ですが子供が産まれたのでミルク代を稼ぐためにアルバイトをやっているんです」
私が唖然としていると例の中年女性が笑顔で頷いた。
「いまどき感心なご主人でしょ」
私はその夜、依頼者にそのまま報告した。
彼女は涙ぐんでいた。